技能実習制度の廃止と特定技能制度の改革に関する意見書

日弁連より、内閣総理大臣、法務大臣、出入国在留管理庁長官、厚生労働大臣、経済産業大臣、外務大臣、国土交通大臣、農林水産大臣、総務大臣、文部科学大臣及び衆参両院議長宛てに以下の意見書が提出されました。

日本弁護士連合会:技能実習制度の廃止と特定技能制度の改革に関する意見書 (nichibenren.or.jp)

意見書の内容としては、近年大きな問題がいくつか取り沙汰されている「技能実習」という外国人の在留資格についてです。

この技能実習の在留資格にて日本へ働きに来る外国人は、一般的に「技能実習生」と呼ばれ、日本の技術を学び、その技術を母国へ持ち帰り、各発展途上国の経済発展に貢献しようという制度です。

ただし多方で言われているように、実際は技術の移転による国際貢献ではなく、日本の人材不足を埋める労働力として受け入れている企業も多いのが実情ではないかと思われます。

また、技能実習生は就業できる職種、作業内容や作業時間数まで制度によって詳細に定められており、おおむね3年間は、同じ職種、同じ企業にて就労し続けることが大前提となっています。また技能実習生たちは、日本へ来るために母国で多額の借金をしてくることが多く、その借金を日本で働いた給料から返済していくことになります。

この制度の仕組みにより、一部の技能実習生受入れ企業にて、強制労働、賃金の未払い、暴力や人権侵害などの問題が起こっており、日本国内にとどまらず、アメリカ国務省からも日本の技能実習制度について「外国人労働者搾取のために悪用し続けている」として人身売買報告書にて問題視されています。

日弁連がなぜこのタイミングで技能実習制度の廃止を求める意見書を国に提出したかというと、技能実習制度の新制度は今年で5年目を迎えることになり、

技能実習法 附則2条「政府は,この法律の施行後5年を目途として,この法律の施行の状況を勘案し,必要があると認めるときは,この法律の規定について検討を加え,その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」

となっていることから、今年が制度の見直しがされる時期となっているためです。

この技能実習制度が廃止の方向へ動く場合、外国人労働者は特定技能1号、および特定技能2号への在留資格へ一本化されていく可能性があります。

日弁連だけでなく、いくつかの団体からも技能実習制度の廃止を求める声が上がっており、今後の政府の発表を注視していきたいと思います。

日本経済新聞(社説)技能実習は速やかに廃止を: 日本経済新聞 (nikkei.com)

特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)【声明】外国人技能実習制度の速やかなる廃止を求めます (migrants.jp)

NPO法人「POSSE(ポッセ)」技能実習制度廃止プロジェクト | POSSE_外国人労働サポートセンター (foreignworkersupport.wixsite.com)